愛国主義教育実施綱要の中身2−第二章(1/3)
2012-10-01


次の八条の冒頭は「中華民族の優秀な伝統文化教育を行わなくてはならない」とある。上の七条に比べると、穏やかな印象であるが、実は重要な思想教育を含んだ内容である。日本人は伝統文化教育といえば、(日本なら)茶道や華道、着物の着付け、能、歌舞伎といったものをイメージするかもしれない。しかし、ここで述べられている伝統文化教育はそのようなものとは全く異なることに気づかなくてはならない。その内容は「傑出した政治家・思想家・文学者・科学者・軍事専門家や経典著作、数多くの文物や史跡、文化遺産などを愛国主義教育の資源とする」というもので、具体的には、中国共産党のリーダー達、例えば毛沢東、周恩来、ケ小平、温家宝の心温まるエピソードを通じて共産党への親近感を育んだり、国内の優秀な科学者の事績と同時にその愛国心を学ばせるエピソードを学ばせたり、万里の長城など中国が世界に誇る史跡や古代文明の発祥地としての歴史、高度な文化の成熟(詩文、数学や天文学等)等を素材とした中国人としての誇りを育成する教育がこの条項に当てはまると思われる。このタイプの教材は建国以来の愛国主義教育の中で大きな役割を果たしてきたが、綱要によって、更に素材の範囲が広げられたようである。


以上のように六条、七条と八条はいずれも建国以来行われてきた愛国教育の伝統を引き継いだ内容である。次に新時期の愛国主義教育の内容について述べられている九条−十二条を見てみよう。(2012年10月4日改訂)


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