下村昇『こわれたとうふ』を読んで
2010-02-09


 下村昇『こわれたとうふ』を読んだ。子ども向けだけれど、大人が読んでも考えさせられる本である。名札、漢字、とうふ…いろいろな話が出てくるが、全編を通してのメインテーマはお年寄りとの関わり方、であろうと思う。お年寄りを汚い者扱いする家庭が出てきたり、お年寄りに暮らしの知恵や料理のこつを教えてもらって豊かに暮らしている家庭が出てきたりする。また、おじいちゃんのお葬式という身内の死にかけつける場面も出てくる。この本はさりげなく、お年寄りとの関わり方を考えさせてくれる。

核家族化してお年寄りが身近にいない家庭が多い今、また、家族のあり方が大きく変化した現代、お年寄りとの関わり方は試行錯誤だともいえる。普段から接っする機会がないと、お年寄りとの関わり方は自然に身につかない。私自身も祖父母とは一緒に暮らしたことがないし、いまも同居していないから、普段お年寄りと接する機会はない。でも幸いなことに、中国関係のおつきあいを通して、幾人か大切なお年寄りの友人(といってよければ)がいる。その方達は大変積極的な人生観を持っていて私よりも活動的だし、多くの知恵を惜しげもなく教えて分けてくれるばかりか、心はとても若くてお元気で、筆まめでいらっしゃる。尊敬できて、一緒にいると元気になれる方たちである。こんな風に私もなれたら、と思う。

ところで、この本を読んでどきっとしたのは、主人公の女の子が起こした事件である。廊下を走ったのを見つかって、先生に怒られ、大切な名札を取り上げられてしまう。つい最近の自分を見たような気分だった。落ち込んだ気分が残っていたけれど、失敗は成功のもと、私も恵美のように元気になろう。

下村氏の本は、先日の『心配めがねの物語』もそうだが、自分に思い当たる状況があったとき、それを乗り越えるヒントをくれるのが本当にありがたい。

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読んだ本:下村昇『こわれたとうふ』(リブリオ出版、2008年)



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